(スーパー)ファミコン囲碁ソフトレビュー

早打ちスーパー囲碁



機種:ファミリーコンピューター
メーカー:ナムコ
発売年:1989年
価格:5,900円
推定棋力:kgs16k(2010年当時)
概要
ゲーム専用機初の十九路盤対局ソフトらしい。 全盛時代のファミコンで発売された意義は大きく、 プレイヤー数はおそらく当時最多で、歴史的な一本である。

レビュー(2010/2/27)
置石の数でレベルが変わる本因坊戦モードなどを備えるが、 これらのゲーム的要素は他のファミコンソフトのレビューサイトに譲る。
タイトル通りとにかく早打ちで、一手3〜5秒ぐらいで打ってくる。 後述の通り推定棋力はkgs16k(2010年当時)で、ファミコンでこの速さと強さを実現したのは脅威である。 その秘密はこのページに書かれていた。 リンク先の消滅に備えて、主要部分を引用しておく。

  > 着手選択のアルゴリズムは、形のパターン認識から候補手をリストアップし、乱数を発生させてランダムに着手を選択させていたました。(驚&笑)
  > この設計は、大正解であると私とS垣は絶賛しました。つまり手を読む事を最初から捨てていたのです。
  > だから90%以上の確率で5秒以内に着手できたのです。


この考え方は、黎明期モンテカルロ法の1回のプレイアウトにおけるパターンマッチングそのものであり、非常に興味深い。

棋風は、やたらと地に辛い。コスミツケが大好きである。入門者が勝つのは難しく、 当時のファミコンプレイヤーの多くは子供であったことから、 初級者用の囲碁ソフトとして一定の役割を果たしたと言える。
2年後にアイマックスより発売された「ファミコン囲碁入門」とは棋力・棋風・思考時間が似通っており、 エンジンか開発者が同じものと思われる。

対局囲碁ゴライアス



機種:スーパーファミコン
メーカー:ジャレコ
発売年:1993年
価格:14,800円
推定棋力:kgs10k(2010年当時)
概要
スーパーファミコン初の対局囲碁ソフト。スーパーファミコン発売から2年以上経っているため登場が遅い感があるが、 それだけ待望の一本として売れたと思われる。
囲碁ソフトとは思えない凄い名前だが、ゴライアス(Goliath)はING杯世界コンピュータ囲碁大会で 1989〜1991年に3年連続優勝した超強豪エンジンである。
1万5千円という高価格であるが、専用チップを内蔵しているのかスーパーファミコンの囲碁ソフトは軒並みこの価格である。

レビュー(2010/2/28)
アイコンや文字が盤上を隠すことが多く、インターフェースにやや難がある。
1手10秒ほどで返してくるが、手どころでは1分近く読む。
定石DBは入っている。序盤は隅と辺に展開するがややアシが遅く、模様を中央に盛り上げたりしないなど大局感に乏しい。 取られている石を動くことが多く、その辺りの判断も甘い。
長所と言うべき特徴は無いのだが、つまりは「あまりに変な手は打たない」。 弱いソフトはそれだけで大幅な棋力向上が達成でき(当時のソフトは弱く大悪手の連発だった)、推定棋力はkgs10k(2010年当時)である。 さすがは大会3連覇のエンジンといったところであり、 同時に、その後のコンピュータ囲碁の棋力の停滞を感じさせるのである。 (12年後の2005年の最強ソフトはkgs5k前後(2010年当時))

本格派囲碁 碁聖



機種:スーパーファミコン
メーカー:タイトー
発売年:1994年
価格:14,800円
推定棋力:kgs12k前後(2010年当時)
概要
タイトーから発売された、スーパーファミコンでは3本目となる対局囲碁ソフトである。

レビュー(2010/2/28)
思考時間は長く、すべての手で20秒は考え、ややストレスに感じる。
GnuGo2と対戦させたみただけだが、途中までは圧勝ペースのはずが、左辺を渡らせる大悪手が炸裂し、 取っていた中央の石まで逃がしてしまい、大崩れして敗れた。
一線のヨセにも手抜きが多く、GnuGo2のつたない打ち筋に助けてもらっている印象。
棋力はkgs12k前後(2010年当時)と判断しなければならない。